DISC事業を支える化合物ライブラリーとは

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国内製薬企業から提供された約30万化合物はアカデミアの先生のアイデアを具現化するための実践的な化合物ライブラリーです。 これをいつでもHTSに使える状態にしておくことが必要不可欠であり、そこにも私たちの技術・ノウハウが生きています。

第一三共RDノバーレ株式会社
生物評価研究部 HTSグループ
主席研究員 西村 悟嗣

DISCの化合物ライブラリーは創薬シーズに繋がる高い可能性を秘めている

これまでに医薬品となった化合物のほとんどは異なる骨格の構造を有しており、それはライブラリーに含まれる化合物の多様性が重要であることを示しています。
国内製薬企業22社から集められたDISCライブラリー約30万化合物は、同規模の数を1社だけで集めた場合と比較して多様性に富み、新しい薬に繋がる可能性を秘めています。
しかも、実際に各製薬会社の研究の結果として生み出された実践的な化合物なので、ヒットする確率はもちろん、ヒット後に医薬品に展開していくための化学構造的な伸び代が大きいと考えています。すなわち、DISCライブラリーは日本の製薬業界の財産とさえ言えます。

化合物ライブラリーの可能性を最大化するためには
検体管理と情報処理システムが必要不可欠

HTSを実施する上で、化合物ライブラリーを厳密に管理することはとても重要です。私たちは、化合物の取り扱い手順や溶液濃度・容器の標準化を行ない、マニュアルに基づいた精密な維持管理を行っています。
例えば、粉末状態の化合物の溶液化に用いるジメチルスルホキシドは吸湿しやすい性質を持っているため、約30万化合物溶液すべてについて含水率の測定を毎月行っています。日々の吸湿対策としては、溶液自動倉庫や自動分注システムを整備し、各プレートに吸湿を防ぐフィルムを貼っておくなど、できるだけ外気に触れないような状態で検体を保管しています。さらに、万が一吸湿してしまった場合に備えて対処法も準備しています。
一方で、どんなに注意していてもヒューマンエラーのリスクは、ゼロにはなりません。そのリスクをゼロに近づけるために、私たちは作業の自動化を進めています。数十万化合物規模のスクリーニングを行なうHTSでは、大量のスクリーニングデータが生じますが、生データの取得から評価パラメーター値の算出までの一連のデータ処理の過程で、ほとんどマニュアル作業が入らない自動データ処理管理システムを構築しています。しかし、人間が担当する部分を全くゼロにすることはできませんので、その部分はダブルチェック体制でカバーする等の対応をとっています。

DISC事業が始まった2015年以来、適切なライブラリー管理と効率的な情報処理システムの存在が、これまでの事業活動に大きく貢献していると自負しています。

化合物ライブラリーの管理とシステム化を担当して
15年のプロフェッショナル

22社の製薬会社では、それぞれ異なったポリシーや運用で化合物が管理されています。それを一元管理する作業が、DISC立ち上げのときに一番苦労した点です。
私は化合物ライブラリーの管理・システム化を担当して15年になります。同業務の担当となってから数年後、第一製薬株式会社と三共株式会社が経営統合しました。
当然、2社で使っていた検体管理システムを統合する必要があります。経営統合直後の混乱の中、私はこの2社の全く異なったシステムの統合作業を担当しました。
当時は大変でしたが、ここで得られた一連の経験・ノウハウがDISCの化合物ライブラリー管理に活かされています。DISCで使用している第一三共RDノバーレ株式会社のシステムが他社と少し違うところは、情報システムや検体の取り扱いの自由度がかなり高いことです。
通常は自社の化合物管理だけを対象にしていますので、複数の機関から化合物を受け入れることを想定したシステムは珍しいのではないかと思います。DISCでは22社の企業から約30万もの化合物を受け入れましたが、このシステムのおかげで取り違えることなく柔軟に対応することができました。

アカデミア発の創薬を実現するために

アカデミアの先生のアイデアを創薬に活かし、化合物をお預かりしている22社の会員企業に良い結果をフィードバックするためにも、化合物ライブラリーの品質を保証して間違いなく迅速にHTSに検体を提供することが、私ができる一番の貢献だと思っています。

DISCにテーマをお任せ頂ければ、私たちは独自の検出法で想像以上の成果を出す自信があります。企業との関係について不安をもたれているアカデミアの先生もいらっしゃるかと思いますが、私たちはDISCが持つ化合物ライブラリーや高密度化・微量化などのHTS技術を以て、先生の研究テーマをより効果的・効率的に支援することを目的としています。是非私たちに、先生が持っていらっしゃる創薬シーズを医薬品に繋げるお手伝いをさせて下さい。

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