DISCユニットのHTSコンサルティング
HTS consulting
DISCユニットでの HTS コンサルティングでは、アカデミアの先生がイメージする創薬の実現を目指して、真の課題や予想される種々の問題点などを共に解決することで、最適な HTS を実施するためのサポートを行います。
第一三共RDノバーレ株式会社
生物評価研究部HTSグループ長
村越 路子

第一三共RDノバーレ株式会社では、これまで、HTSの高密度化・微量化に注力してきています。これにより、試薬の使用量を従来の1/20に低減し、評価スピードは 20 倍にすることを可能にしました。
その結果、通常のラボでは 6ヶ月かかるような評価も 2 週間程度で実施できます。
高額な抗体や、調達が難しい貴重なサンプルを扱うテーマにとっては、HTS の微量化技術は大きなメリットになると考えています。
HTSコンサルティングを行っていると、「技術的な問題でやむをえず、最適ではない評価法を採用しています。」とおっしゃる先生がいらっしゃいます。
DISCユニットが持つ技術・ノウハウを活用することで、先生方が獲得したい化合物を、より効果的な評価方法で選抜できるようサポートさせていただきます。

HTS における高密度化・微量化は、材料や時間が律速で犠牲になっているサイエンス上の課題を解決するための、強力な武器であると確信しています。これらの技術と、DISCユニットが持つ経験、ノウハウを組み合わせることで、単にコストの低減や時間短縮を図るのではない、効果的なスクリーニングを実施できるのが、DISCユニットの HTS の特徴です。
HTSコンサルティングから
HTS実施までの流れ
創薬コンセプトに基づく評価方法についてのHTSコンサルティング
アカデミアの先生方から、ご自身が持つ創薬標的やその治療薬のイメージ、すなわち創薬コンセプトについてご説明頂き、獲得したいヒット化合物のイメージの共有と、スクリーニングの方向性について議論します。
創薬コンセプトに基づく評価系構築について、DISCユニットが有する技術と経験を活用した、多面的なアプローチを提案させて頂き、最適な評価フロー構築実現のための方策を議論いたします。
また合わせて、HTS 実施に必要な事前の検討項目、例えば、試験材料の安定性や入手方法などについての確認も行います。

評価スピード20倍・試料1/20を実現するHTS設備の紹介
DISCユニットで HTS を担当する際には、DISCユニットが保有する HTS 設備の見学の機会を設けさせて頂いています。
これは単なる設備の紹介ではなく、アカデミアでは困難であると思っていたスクリーニングが、DISCユニットとの HTS では可能になる、というイメージを共有したい、という狙いがあります。
代表的な設備としては、DISC 会員企業 22 社から提供された化合物ライブラリーの管理技術や国内随一の高密度化・微量化技術を支える研究機器、高速スクリーニングのための最新測定機器などです。
先生方にスクリーニングのアイデアを膨らませていただくためにも、非常に重要なステップと考えています。

試験系構築のためのすりあわせ
HTS コンサルティングでのディスカッションの段階で抽出した、事前検討項目の状況を共有して頂き、今後の試験系構築の進め方について確認を行います。
カウンターアッセイや高次評価を組み合わせたスクリーニング・フローについても議論します。
アカデミア研究者からの技術移管の必要性と移管方法の確認も行います。また、法令上必要な手続きに関しても適宜サポートを行います。

HTSアッセイ系の構築
HTS アッセイ系の構築は、DISCユニットがゼロから構築する場合と、アカデミア研究者から移管を受けた試験系をもとに構築する場合とがありますが、いずれにおいても、DISCユニットでの支援終了後も、継続的に評価が可能な試験系とすることを念頭に置き、最適化を行います。
その後、擬陽性化合物の除去に必要なカウンター試験系や、構築した HTS アッセイ系の安定性と堅牢性などについて確認します。
以上の検討を終了後、パイロット・スクリーニング(数千化合物を用いた小規模の HTS)を実施することで、全ライブラリーを用いた HTS 実施時に想定される問題点の抽出と、その解決策も検討します。
加えて、活性維持や調達が難しい試験材料の調達もこの段階で目処を付けます。このような HTS 実施の可能性確認をこのステップで行います。

HTSの実施
構築した HTS アッセイ系を用いて、DISCライブラリー約 30 万検体の化合物評価を実施します。
得られたヒット化合物について、スクリーングフローに従ってカウンターアッセイや再現性試験、高次評価を実施し、活性化合物を絞り込みます。その後、これらの試験結果を踏まえて、更なる化合物絞込みの必要性の議論を行います。
以上のような評価結果をもとに HTS の結果をまとめると、DISCユニットでの支援業務は終了となります。
